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土屋 洋一

土屋 洋一

Acoustic Revive製品との出会いは2014年2月下旬、アレンジャーとして参加したハイレゾ・サラウンド音源配信で知られるUNAMASレーベルの「軽井沢大賀ホール・ヴィヴァルディ 四季 24bit/192kHzハイレゾ・サラウンド録音&4K映像収録」プロジェクトの際でした。Acoustic Reviveのマイクケーブルや電源タップ、電源ケーブルが使用され凄まじい存在感を醸し出し、ベテランエンジニアの賞賛をうけていて、Acoustic Revive石黒さんのお人柄もあいまってAcoustic Revive製品を導入しようと思いました。

僕は学生時代より自宅に簡素なサラウンド制作環境を構築していて、DAWはNuendo、モニタースピーカーはGenelec8020A×5本使用し制作しています。必要最小限の制作のマナーとして音響機器の電源はSHINANO(HSR-510)からとりXLRケーブルはB社のケーブルを使用していました。ケーブル、電源に関して最小限ながら気を使っているつもりでした。

―新導体PCtripleCのXLRケーブルを導入へ
Acoustic Reviveのケーブルを導入しようと問い合わせたところ、石黒さんから新導体PCtripleCで納入できると聞き早速5ch用のXLRケーブルを頼みました。そして導入へ。

今回想定出来る限りのあらゆる影響をカットするため、ノイズ対策と視覚情報の影響により音の印象の変化を防ぐため部屋の照明を切り、音源は5chのものをモノラルに落とし同じ一つのスピーカーで計3回ずつ聴き比べしてみました。リファレンス音源はハイレゾ24bit/96kHzステレオ・サラウンドでリリースされている自身のファーストアルバム「Universe for Surround」より"Path in Winter"弦楽カルテット版を選択、この曲には音量が最大から最小になる部分があり、その音量が最小の部分は弦楽カルテットのハーモニクス、ピッチカート、通常の奏法が混在しているため、これがどのように変化するかをポイントに試聴することにしました。作曲からサラウンドミックスまで自分で行ったため少しでも音が変わるとすぐにわかります。

ケーブル交換による音の変化は制作環境を構築する際、経験したことがあるので微々たる変化かなと思っていたのですが、新導体PCtripleCのXLRケーブル使用してみたところ、「音が近くなる」「音の輪郭がはっきりする」「ダウンミックスにより重なり合った音が距離感を伴って良く聴こえてくる」「弦の奏法の違いが明瞭に聴こえる」など劇的に音が見えてきて非常に驚きを感じました。これは他と違うなと感じ、早速他のケーブルを試すことにしました。

―同じく新導体PCtripleCの電源ケーブルを導入
シナノHSR-510にアコリヴァ電源ケーブルを使用 同じく新導体の電源ケーブルをオーディオインターフェイス付属のケーブルから変更すると低域のぼやけが消えパワーが増したように感じ今までなかったデスクにまで振動が伝わる現象が起き位置を変更するほどでした。電源ケーブルを交換してリフレッシュしたベテランのMOTU896HDにはまだまだ働いてもらえそうです。念には念をいれてすべての音響機器の電源の大本SHINANO(HSR510)の電源ケーブルも交換。

旧導体PCOCC-AのXLRケーブルと電源ケーブルも納入してもらったので、新導体PCtripleCのケーブルと比較してみました。オーディオインターフェイスの電源とGenelec8020Aに使用です。比較方法は前述と一緒です。旧導体といえどもそのクウォリティはもの凄いものですから非常に高いレベルでの差ですが、新導体PCtripleCは音の抜けがいいですね、音の立ち上がりも早いです。

―IEEE1394ケーブルをPCとオーディオインターフェイス、ソフト音源用ハードディスクに使用
「デジタルだから音は変化しないのでは?」という意見の方もいます。良好なモニター環境で実際制作をしてみるとわかりますが、デジタルケーブルを一つ変えただけで音は変わります。デジタルといえど、劣化しないとされている理論上と実際の差異があるようで、特に自分が作曲して自分がミックスしたものだとよくわかります。オーディオインターフェイスに使用したら音がもやが晴れたようにクリアになりました。通常のIEEE1394ケーブルは信号ラインと電源ラインが沿って配置されているためその構造がデータの送受信に何らかのを与えているのは容易に想像がつきます。このAcoustic ReviveのFW-1.0TR-SFは「双方向の信号ラインと電源ラインを3分割した世界初の構造」だそうで、その点の安心感は抜群ですね。IEEE1394ケーブルとともに同構造のUSBケーブルもあるので、外部ハードディスクにソフト音源のライブラリを置く方も多いですからおすすめです。

ソフト音源ハードディスクにFW-1.0TR-SF 896HDをFW-1.0TR-SFと新導体電源ケーブルに

―ルームチューニング
今までケーブルの話ばかりですが、良いモニター環境にする一番の近道はルームチューニングで、スピーカーの音が変化する主な原因の一つは部屋の響きです。いままで音の反射が気になっていた箇所にRWL3 2台とWS-1を配置。

フロントSPにRWL-3

RSPにRWL-3.JPG リアSPにWS-1

天井のコーナにWS-1

無駄な反射音が吸収、整えられ、スピーカー自体の音が聴こえてきてよくモニターできるようになりました。いままでの部屋の響きに惑わされていた部分が消え去り、ミックスの際に的確なリバーブを容易につけることが出来そうです。特にWS-1はコンパクトで軽いので狭いスペースや天井にも配置でき自宅スタジオには最適です。



―いよいよ新導体PCtripleCのXLRと電源ケーブルをサラウンドスピーカーへの導入~試聴へ
充実した成果を感じたため、今までモノラルでのみ試聴していたのですが、いよいよサラウンドでの試聴に取りかかることにしました。サラウンドで考えなければならないのことの一つはリアスピーカーの電源とケーブルの引き回しです、ケーブルは当然長くなり接続部分が増えるのでノイズが乗るのではと不安要素を抱えます。そこで振動にも強く安定性の高い電源BOXのRTP-2ultimateを使うことに躊躇はありませんでした、もちろん新導体PCtripleCの電源ケーブルを使用です。スピーカーケーブルも新導体PCtripleCのXLRケーブルを5chスピーカーすべてに使用しました。リファレンス音源は前述の"Path in Winter"のサラウンド版。

リアSP用RTP-2ultimateとアコリヴァ電源ケーブル

明らかに解像度があがりました、しかも音響空間がスピーカーどうしの間や天井までぐっと広がりました。確かにこの音源は弦楽カルテットを高い位置からのメインマイクで空間の響きごと録音しており、LsRs用のマイクもより高い位置にセットされているので納得がいきます、エンジニアの録音の意図と96kHZ/24bitサラウンドマスター音源のポテンシャルが存分に引きだされた感があります。自然と音響ハウス第一スタジオでの録音時の緊張しつつ、わくわくした感覚を思い出しました。モノラルですらあの違いを確認できたのですから、単純計算でモノラル×5ですので圧倒的な情報量の向上が起こるのは当然な訳です。ヴァイオリンの高音の伸びがクリア聴こえるようになり、チェロの胴鳴りも見えてきます。単純に音量が増した可能性もあるので念のため10dbほど下げて聴いてもみましたが、弦の音が立ち上がり、空間に拡がって消え行く様は非常によく聴こえました。

弦楽カルテット機材セッティング 弦楽カルテット録音風景

サラウンドでの試聴

―最後に
音響制作に携わっている人間なら誰しも経験することなんですが、現在のデジタルオーディオといえども(例えばデジタルケーブル一つの交換でも)何をどう変えても音が変化する現象があり、変化をしてしまうことを見越して、制作者の意図する正確なリスニング環境に導くことが必要となります。もちろん作曲家にとってはベストのスコアを書き、打ち込み、ミックスをすることが最重要のことなのですが、解像度が高く正確なリスニング環境を構築することは、自分の書いた音楽を正確な音で聴きながら制作することになるので、良い作曲とミックスに繋がる訳です。「正確なリスニング環境を構築をするツール」としてこのAcoustic Reviveの製品群は非常に有効であることが確認できました。

それと僕は最近ブームとも言えるハイレゾ音源の制作に携わらせて頂いているのですが、持論として、クラシックでは平均率で調律されているピアノを倍音のコントロールで純正調に近づけるピアノ奏者がいたり、スタジオの弦楽器奏者は後で編集しやすように倍音を消す奏法があるくらいなので、スコア・演奏・DAW・機材・ケーブル・ミックス・マスタリング・リスニング環境と一つ一つ見直していかないと、DAWのサンプリング周波数を変えるだけではハイレゾの効果は発揮できないと考えています。その「ハイレゾの為のケーブル」という点でもAcoustic Reviveは今後欠かせないものとなりました。この人とモノとの巡り会いに感謝です。

土屋 洋一

土屋 洋一

作曲家・音楽家
東京に生まれる。20歳よりピアノをその後作曲を始める。2011年東京芸術大学作曲科を卒業。 作曲を近藤譲、サラウンドデザインをMick沢口、録音を亀川徹、DAWとエンジニアリングを江夏正晃に学ぶ。
作曲及び5.1chサラウンドミックスした楽曲で世界的な団体であるAESが行う130th AES Convention LondonのRecording Competitionに日本代表としてエントリー、131st AES Convention New Yorkにてイーグルス、エアロスミス、スティーリー・ダンなど多くの著名アーティストのミキシングや音楽プロデューサーとしても知られるElliot Scheinerにより称賛を受け、数々のグラミー賞ノミネートアルバムを世に送り出している2LレーベルのMorten Lindbergをして「聴いたことの無い音楽を聴いた」と言わしめた。などをはじめ現在多岐に渡る作編曲活動のほか立体音場(サラウンド、マルチチャンネル、多群アンサンブル、バイノーラル)による音楽制作を行っている。
ファーストアルバム「Universe for Surround」と弦楽四重奏リライトを担当した「Afterglow」清水絵里子 & Strings4 [コンデンサーマイクとリボンマイクの2ヴァージョン] がe-onkyo music、HIGHRESAUDIO.jp、クリプトンHQM STORE、iTunesよりハイレゾ24bit/192kHz・96kHz、AAC-256kbps、ステレオ・サラウンドなど各フォーマットで好評配信中。

http://tsuchiya-yohichi.com/