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原点回帰の音を求めて。大河内満さん

大河内満さんのシステム

スピーカーシステム JBL BASS 8 (2000)
JBL 4312E (2013) Main SP
BOSE 202 (2006) for Bedroom
スピーカーセレクター ORB
プリメインアンプ ACCUPHASE E-213 (2008)
フォノアンプ SHELTER 216
レコードプレーヤー KENWOOD KP-990 (1987)、ORTOFON MC-20W
THORENS TD800 (2005)、DENON DL-102
CDプレーヤー DENON DCD-1650SR (2000)
MDレコーダー DENON DMD-1560 (2000)
FM/AM チューナー SONY ST-S333ESG (1990)
カセットテープレコーダー SONY TC-K333ESR (1988)
ラインバランス PIONEER N-30 (2010) for THE BEATLES USB,24bit
ラインケーブル ORTOFON AC-3600 Silver, etc.
スピーカーケーブル ORTOFON SPK-3100 Silver, etc.

13:00 スタート
ビートルズに囲まれたオーディオルームに入室するや否や大河内氏と石黒氏はマニアックなビートルズばなしで盛り上がる。

石黒:「普段、特に聴くのはアナログで、次がCDということになりますよね。」

大河内:「そうなりますね。CDも2,000年以降に発売されたものは、昔ほどデジタル臭さを感じなくなり、凄くいい音になっているとは思いますけど。」

石黒:「CDとアナログでソフトを決めて頂いて、それを試聴しながら作業をすすめましょう。」



13:30 スタート

大河内:「ゴールドパーロフォンの『プリーズ・プリーズ・ミー』のモノ盤にします。」

石黒:「あの生々しさがいかに出るか、楽しみですね。この盤には手が震えます。真っさらでレーベルのスレもなくてきれいですね。私はこの盤をヤフオクでかなり高額で落としましたよ、ムキになって。落としてからお金をどうしようか凄く困りましたが、お金をかき集めました。」

大河内:「90年代頃はまだ安く手に入ったんですよ。僕はこれ◯万円で手に入れました。」

石黒:「イエローパーロフォンの状態の良い盤もいいですが、これと聴き比べちゃうと鮮度が全然違いますからね。」

大河内:「販売されたのは最初の三ヶ月だけだと言われている極初期プレス盤ですからね。恐らくこれ以降はスタンパーが変わっちゃったんでしょうね。最近、そのあたりの経緯がかなり分かるようになって来ました。今、ステレオ盤がとんでもない値段になってますよね。」

石黒:「それこそミントコンディションなら100万円はするでしょう。それにしても、この盤を何度もかけるのは心もとないな〜。」

大河内:「モノラル盤は大丈夫ですよ。この盤は生きの良さが全然違いますから。」

石黒:「絶対に違いますね。しかし、この盤を試聴用に使うというのは凄い。」

大河内:「どうせだったらやりましょう。パンクな感じがする荒々しさがあるんですよ。」

石黒:「当時の彼等の勢いを感じますからね。」

13:45 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」試聴。
スピーカーから1963年の録音とは思えないほど生々しいサウンドが大音量で飛び出してくる。

石黒:「凄いな〜、いい感じに鳴ってますよ。ポールのベースもぶんぶん唸ってます。あれくらい低音が出ないと気持ちよくないですから。ほんとにパンキーですよね。」

大河内:「初期盤ならではの音がします。」

石黒:「とてもいい音ですけれど歪が出てますよね。生々しさを失わないようしてその歪を取り除きましょう。歪を取り過ぎると大人しくてつまらない音になってしまいますが、歪を取って生々しさを増すことも出来ますので、それをやらせて頂きます。まずはコンセント周りを交換します。」

大河内:「ビートルズってハイファイではないですよね。真空管のAMラジオで聞くのが当時の主流ですから、そのラジオから流れていかにかっこ良く聞こえるかということにビートルズは力を入れていたと思うんですよ。」

石黒:「彼等が実験的なことをやり出した後期の『リボルバー』あたりからは相当ハイファイも影響して来ます。その後『サージャント・・・』でやり尽くして、その以降、録音手法はオーソドックスになりますけど。」

大河内:「それにしても『サージャント・・・』を4トラックで録音しているんですからね。」

石黒:「あれは信じがたいですね。飛んでもない空間が出てくるんですよ。」

大河内:「何度も何度もダビングしたわけですからSNは悪くなるし、音は劣化しますよね。」

石黒:「恐らく位相コントロールなんかもしていたでしょうね。」

大河内:「その次の『ホワイト・アルバム』の途中から8トラックになるんですね。USBで聞くと、やっぱり8トラックは違うなということが分かります。」

磯田:「ビートルズの情報はどうやって得るんですか?」

大河内:「やっぱり仲間内からですね。うちでもテーマを決めて比較試聴会をよくやります。今日は『ラバーソウル』だけね、とか。コレクターが集まると同じ盤が30〜40枚集まります。それで、一曲だけ決めて聴き比べるんです。そういう人とのつながりが出来てから、一人で聴いている時とは随分聴き方も変わりました。よくこんなものを見つけてくるなと思うものを皆探してきますから。」

石黒:「うちでもよくビートルズ比較試聴会をやっていますので、ぜひ、今度遊びにいらして下さい。」

大河内:「それは嬉しい。やっぱり、ある程度以上のオーディオ・システムで聞かないと、色んな違いが分かりませんからね。」

磯田:「カセットは昔録音したものを再生する為に使っていらっしゃるんですか?」

大河内:「昔のものも聞きますしインターFMでやっているボブ・ディランの番組をエアチェックして楽しんでいます。あれはいい番組ですね。MDだと録音が楽しくないのでカセットを使います。MDで録るよりも雰囲気があってカセットの方が楽しい。今はノーマルテープしか買えないので残念ですけど。友達からビートルズの貴重な音源を借りた時もカセットに録音します。ハードディスクにというやり方もあるんでしょうけど、カセットがいいですね。」

石黒:「電気の極性が正しいかどうかを調べます。極性チェッカーの電池が切れてしまったので、聴感で決めましょう。」

大河内:「ぼくは、そんな耳を持ってないからな〜。」

石黒:「結構分かりますよ。極性が正しくないと電圧とか電位が変わってしまうんです。通電した機材はすべて電気を帯びるんです。極性が正しければ、それが低くなります。例えばアナログの場合は数ミリボルトを扱いますが、機材自体が50ボルトとか帯びてしまったらとてもまともな動作が出来なくなってしまいます。機材というのは0ボルトで動作することを前提に設計されているわけですから、正極でアースを落とすことで0ボルトに落とします。
ところが極性が反対になると、機材が帯びる電圧が上がってしまい、動作が不安定になり音が歪みます。しっかりアースを落とせば0ボルトに出来ます。ただし、アースは一点で落とさなければいけないんです。全部の機材から別々にアースを落としてもダメ、一カ所で落とします。何故かと言うと、LINEケーブルのコールド側がアース線、つまり機材全部のアースが繋がっているから、一カ所だけ落とせばいいということになります。色んな機器からアースを落とすと、アース・ループが出来てしまい、ハムノイズが出たりします。」

14歳の伊之助君登場。

大河内:「猫って現実のリアルな音には反応しますが、ステレオの音は大音量でも気にならないみたいで、いつも一緒にロックを聞いています。」

石黒:「壁コンセントと壁コンセントを補強するコンセントベースを取り付けただけで、他には何もしていません。これで聞いてみましょう。」

14:30 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」試聴。
我々と一緒にスピーカーの前、しかもぴったりとセンターに陣取って音を聴いていた伊之助君、演奏が終わった途端に満足そうに「ニャアオ!!」と一声。

団子状態だった音の分離が良くなり、ベースのディティールが出て低音の密度が変わった。歪が軽減したことで音にトゲトゲしさが無くなり、大きく音が変化した。

大河内:「きれいに低音が出始めましたね。」

石黒:「おっしゃるようにベース・ラインがはっきり聞こえるようになりましたね。暴走気味だったポールのベースのディティールが出てきました。音の密度が上がったのでちょっと歪が強くなりましたが、全体のSNが良くなったので、立体的に聞こえるようになりました。」

大河内:「分離も良くなりましたよね。」

石黒:「何でモノラルなのにと思いますが、実はモノラルはとても音場感が出るんです。大本のコンセントを変えただけで、これだけ音が変わりますからね。次にアナログ再生系統のアンプ、フォノ・アンプ、チューナーの電源ケーブルを変え、ケーブルを変えられないものは電源BOXから電気をとります。」

大河内:「うわ〜、太いケーブルですね。ケーブルを選ぶ時って、見てくれで選ぶことが多いんですが。」

石黒:「やっぱり触った時の感触が音にも出ます。硬いケーブルは固い音がするし、柔らかい素材のものは柔らかい音が出ます。」

15:00 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」試聴。

大きく音が変化し、増々歪感がなくなり音がまとまってきた。

伊之助君:「ニャ〜〜〜〜〜〜〜ア!ニャオニャオ。」

大河内:「随分変わりましたね。暴力さ加減がちょっと引っ込んだ感じがします。」

石黒:「歪が圧倒的に減ったんです。ケーブルを変える前ですと、あれ以上ボリュームを上げると音が割れて聞けなくなってしまいますが、この音ならば、いくらボリュームを上げても大丈夫です。ただし、他の部分の弱さが出てくるので、次にラインケーブルを交換します。」

大河内:「今までで一番変わりましたね。」

石黒:「機材の電源ケーブルも変わったし、アンプとフォノイコの電源ケーブルが変わって、壁コンから電源が供給され、ノイズフィルター付きのOAタップからオーディオ用のタップに変えましたので、ドカ〜〜ンと音が変わりましたよね。当然、歪が消えているので荒々しさは失われています。荒々しさは消えたのですが、エネルギーは失われていません。歪ではなく本当の荒々しさを出すということで、ラインケーブルを変えてみましょう。」

15:15 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」試聴

大河内:「凄いですね〜これは。こんなに変わるんですね。」

石黒:「電源が上流から良くなってきたんです。今までのラインケーブルは見た目はいいのですが線が細い。それを交換したことにより一気にネルギーが流れてきました。だから、刺激的だけどうるさくない。安いギラギラ感がなくなって本物のギラギラ感が出てきましたね。」

大河内:「いや〜、ここまでラインケーブルで音が変わるとは思わなかったです。本当にこれは驚きです。」

伊之助君が突然LPプレイヤーの上に飛び乗ったのでビックリ。

大河内:「大丈夫です、彼は絶対にレコードには触りませんから。」

石黒:「凄いですね、稀少盤を傷つけないかとハラハラしました。」

アームやアンプに共振点を変える天然クォーツレゾネーターを貼る。

石黒:「共振を抑えることにより音のニジミが消え、増々音がクリアーになります。これで、ちょっと音を聴いてみましょう。」

15:25 「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」試聴

大河内:「それぞれの楽器の一音一音のディティールが変わりましたね。」

石黒:「しかもそれがもの凄いエネルギーを伴って飛んでくるんです。何か他のソースも聴いてみましょうか。」

大河内:「大好きなジュリー・ロンドンにします。」

15:35 『ロンリー・ガール / ジュリー・ロンドン』LP試聴

石黒:「子音が全然気にならないし、艶かしさが増していると思いますが、いかがですか?」

大河内:「素晴らしい!!」

石黒:「モノラル・システムはこれでパーフェクトですので、ステレオ系統に少し手をいれましょう。何かかけて頂けますか?」

大河内:「ビートルズでいいですか?」

石黒:「ぼくはビートルズが分かりやすいので、ぜひ。」

大河内:「ステレオのマトリックス2番の『ラバーソウル』を聞きましょう。 仲間内で聴いても、これが一番音がいいと評判です。」

15:50 「ドライブ・マイ・カー」試聴。

石黒:「電源が変わっているので、既にいい音になっているとは思いますが……。」

大河内:「凄くいい音で、雑味がなくなってます。」

ステレオ用のプレイヤー、トーレンスのRCAケーブルを交換し、天然クォーツレゾネーターを貼る。ケーブルやアームにも天然クォーツレゾネーターを貼る。

16:05 「ドライブ・マイ・カー」試聴。

石黒:「ちょっと途中でごめんなさい。針圧が軽すぎるので調整します。」

16:07 「ドライブ・マイ・カー」「ノルウェーの森」試聴。
音質を気にすることなく音楽に浸れる。まさに、これが石黒流クリニックの真骨頂。

伊之助君:「ニャオ、ニャオ、ニャオ〜〜〜。」

大河内:「曲が終わってから鳴くところがえらいよな。イノも音が良くなっているのが分かるのか?」

石黒:「よく教育が出来てますよね。いかがですか?」

大河内:「象的な表現になってしまいますが、音がちゃんとしたというか、背筋が伸びた感じがします。『ドライブ・マイ・カー』のジョンとポールの声の違いがよりハッキリ分かるようになりました。本当に凄いです。」

石黒:「機器の接点に導通クリーナーを吹きかけましたので、時間が経つほど、どんどん音が馴染んできます。接点というのは凸凹で点と点が繋がっている状態なんです。その凸凹の部分にナノレベルのカーボン粒子が入り込んで接触面積が増え、導通性が上がりますので、時間が経つにつれて音のつながりが良くなってきます。これで、アナログ・プレイヤー周りが完成しましたので、最後にスピーカーの足回りをちょっと補強しましょう。スピーカー台がブロックかと思ったら発泡スチロールなので。」

大河内:「実は、高さがきっちり合うブロックが見当たらなくて、これではダメだろうなと思いつつ、この台を使ってます。」

石黒:「この類のスピーカー台は高いですよね。現状で出来るだけの対策をしてみましょう。」

スピーカーの足回りの発泡スチロールに天然クォーツレゾネーターやスペーサーを貼る。

16:15 「ドライブ・マイ・カー」「ノルウェーの森」試聴。

大河内:「低音がカチっと締まり、コーラスの分離もはっきりしました。」

石黒:「重心が落ちましたね。安定した音になったと思います。ネットワークプレイヤーで何か聞いてみましょうか。」

16:15 USB版「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」試聴。
高音が刺激的すぎる。

16:15 CD「ホワイル・マイ・ギター・・・」試聴。
再生途中で中止。

石黒:「CDはダメだな〜。特に大音量で聞くとCD独特の嫌な音が出ますね。」

CDプレイヤー、ネットワークプレイヤーの電源ケーブルを交換、ケーブル類に天然クォーツレゾネーターを貼り、エージング・ディスクをかける。

16:52 CD「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」試聴
CD特有の嫌な音がかなり減り、デジタル臭さの原因が電源ケーブルだったことが判明。

再度USB版「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」試聴。
音のダイナミズムが全然違う。CDでは音が詰め込まれている印象だが、音楽がのびのびと聞こえる。

大河内:「クラプトンのギターの鳴き方が全然違います。」

17:02 終了。

構成・文:磯田秀人(ピンポイント)