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オーディオ人生50年の歴史の中で衝撃的な一日でした。佐々木陽一さん(66歳)

現在のシステム

スピーカーシステム SONUSFABER / MINIMAVINTAGE + ORIGINALSTAND(ELECTAAMATOR)
プリメインアンプ(コントロールアンプ) LUXMAN / SQ38U
パワーアンプ 自作 / 300B真空管パワーアンプSACDプレーヤー LUXMAN / D08
レコードプレーヤー LINN / LP12/LINGO/EKOSカートリッジ GOLDRING / LEGACY
デジタルプレーヤー OLIVE / 6HD電源ケーブル CAMELOT TECHNOLOGY / PM900RCAケーブル HARMONIX / HS101GP1.5
コンセントプレート ORB/特注品コンセント JODELICA / TSSヘッドホン SENNHEISER / HD800

アコースティックコンディショナーRWL-3 14:45 スタート
高久さんのお好みのディスクをアナログ盤にて何枚かかけていただく。。

『Chet / Chet Baker』 『I Just Dropped By To Say / Johnny Hartman』など甘くしっとりしたボーカルが雨の日にっぴったりとハマるものの、高久さん自身最初から何とか改善したいという若干ブーミーな低音が気になる。

まず最初にアコースティックコンディショナーRWL-3を部屋のコーナーに1枚だけ設置。これだけで音場がスッキリと開け、気になっていたブーミーな低音がなくなる。

高久「低音はスッキリしたんだけど、その分、温度感が下がってしまいますね。ぼくが目指しているのはすっきりした音ではなく、甘くて奥行きのあるそしてエコー感、構築観のあるサウンドなんです」と高久さんからジャブが入る。

石黒:「え〜?当初の不満点だったブーミーさはなくなってるのに・・・随分と難しい要求をされますね(苦笑)」

ショート・ピンSIP-8Q 試聴ディスクを前回の佐々木さん宅でも大活躍した『ワルツ・フォー・デビー/ビル・エヴァンス』に変更し、電源BOXを変えるとピアノやベースの輪郭がクッキリと浮き出てくる。

高久:「輪郭が出すぎるのもちょっと苦手なのよね〜」

石黒:「ピアノもベースも本来の音に近くなってると思うんですけど・・・」

プリアンプの入力端子にショート・ピンSIP-8Qを装着。

高久:「エヴァンスのピアノが薄っぺらく感じるな〜」

石黒:「いえいえ、余計な雑味がなくなって逆に密度が増してアタックは強靭になってると思いますけど・・・このまま古い音源で作業を続けても上手く噛み合いそうにないので、高久さんが携わったアーチストの音源に変えてみませんか?」

天然クォーツインシュレーター そこで 試聴ディスクをご自身がプロデュースした二枚のディスク、南佳孝のベスト盤『30° STREET SOUTH/南佳孝』と『静かな生活 / アンドレ・ギャニオン』に変える。

高久:「やっぱりな〜、自分が手がけたアルバムだとよくわかります。佳孝の歌の語尾、余韻が消されているんです。佳孝の持っている歌のニュアンスがもっと出て欲しいんです。ギターももっと甘くしたいな〜」

石黒:「それは余韻じゃなくて雑身・・・ギターの基音と倍音の関係などは正しく明瞭になってますよ。曖昧さがなくなったから今の状態ではドライに感じるかもしれませんけど」

石黒さんが色々手を尽くしても、なかなか高久さんの納得のゆく音にならない。お二人のやりとりを脇で見ていると、プロデューサーがレコーディング・エンジニアに録音の注文を付けている光景に似ている。とても興味深い真剣勝負が目の前で繰り広げられている。先ほどからの高久さんの細かい注文を石黒さんがどうやって具体化するのだろうか?

石黒:「ではヴォーカルのニュアンスやギターの甘さを出してみましょう」

SACDプレーヤーとプリアンプとメインアンプの下に天然クォーツインシュレーターRIQ-5010とRIQ-5010Wを敷く。

グランデイングコンディショナーRGC-24高久: 「お!いいね〜。確かに南のボーカルのニュアンスが出てきた!ギターの甘さもある。ギャニオンのピアノもとってもリアルで良いですね〜。モントリオールで録音した当時の寒かったことを思い出すよ」

石黒:「ああ、 良かった良かった(笑)ではもうちょっと追い込んでみましょう」

SACDプレーヤーにグランデイングコンディショナーRGC-24を接続する。

高久:「佳孝の歌はとてもいいですね。サウンドのエネルギーが上がりましたが、ちょっとストリングスがきついかな。何だか変な言い方だけど、必要以上に歌が上手く聴こえます。ギャニオンのピアノはニュアンスがいいですね。くすんだ部分がなくなったんですが、もう少し奥行感が欲しい。それと、音が立派すぎるのでもっとソフトに鳴って欲しいな〜」

石黒:「では、その辺の不満点を一気に解決しましょう」

マイナスイオン発生器RIO-5II,超低周波発生装置RR-777マイナスイオン発生器RIO-5II超低周波発生装置RR-777を設置。
南佳孝の声が出た途端に「最高!」と高久さん。

高久: 「今までこんなベースが聴こえたことがない、それに佳孝の口の大きさまで分かるのがいいですね」

RIO-5IIとRR-777の導入したことによる音の変化がとても気に入った高久さん。





導通向上クリーナーECI-100,クォーツレゾネーターQR-8 そこでアナログ盤に戻して聴いていただく。シェルとアームの接点やフォノケーブルの接点を導通向上クリーナーECI-100でクリーニングし、随所にクォーツレゾネーターQR-8を貼った上で『I Just Dropped By To Say』を試聴。

高久:「サウンドが整然としていいけれど、もっと甘さと余韻部分が欲しい」

『Chet』試聴。

高久:「楽器のニュアンスがとてもリアルでいいです」

そして、『ワルツ・フォー・デビー』試聴。

高久:「低音のあばれが失くなったし、ピアノのクリア過ぎた部分も収まってとても聴きやすいね。ライヴ会場の雰囲気も出て生々しくなった」

そして、石黒さんの最終仕上げ。分電盤の各所に電磁波吸収材のグリーカーボランダムシートや静電気を防止するトルマリンボールを配置、天然クォーツレゾネーターQR-8を随所に貼り付ける。

『30° STREET SOUTH/南佳孝』試聴。

高久:「弦がまだキツイかな」

『静かな生活 / アンドレ・ギャニオン』試聴。

高久:「もうちょっとキツさがとれないかな〜」

石黒:「これでも、まだきついですか?じゃあ決定的に音を柔らかくしちゃいましょう」

スピーカーのサランネット裏側にシルクアブソーバーPSA-100を薄く延ばして貼る石黒さん。

高久: 「OK!とてもいいです。でも出来ればもうちょっと混沌とした官能と余韻が出るといいんですけどね」

石黒:「まずは、 このまましの状態でしばらくお聴きになって現状の正しい状態になった音に慣れて下さい。それでもご不満でしたら、またご希望の線に沿ってクリニックをやりましょう!」

16:45終了
二時間に渡って繰り広げられた真剣勝負ははらはらのしどうしだった。

試聴盤がご自分のプロデュースしたディスクであるだけに、ディスクに刻み込まれたすべてを知り尽くした高久さんは、自分が創りあげた音がどこまで自宅で気持ちよい音にするかを追求し、それに受けて立った石黒さんは、一つ一つ丁寧に問題を解決していく。一つ解決するとまた新たな問題が気になる高久さんとそれを丹念に改善する石黒さん。目の前で繰り広げられた丁々発止のやりとりは、いい音とは一体何なんだろうかということを深く考えさせてくれる貴重な時間だった。

 

構成・文:磯田秀人(ピンポイント)