トップ >  A Taste Of Music Vol.2

A Taste Of Music Special Website - Peter Barakan / ピーター・バラカン

A Taste Of Music Special Website - Peter Barakan / ピーター・バラカン

profile

ピーター・バラカン
Peter Barakan

1951年、ロンドン生まれ。 ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在はフリーのブロードキャスターとして活動中。
「Barakan Morning」(Inter FM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK FM)、「CBS60ミニッツ」(CS ニュースバード)、「ビギン・ジャパノロジー」(NHK BS1)などを担当。近著に『ラジオのこちら側で』(岩波新書)。


公式ブログはこちら
twitter @pbarakan

information

ピーター・バラカンさんのイベント情報


◎東京藝術大学奏楽部(大学構内)で開催される「消える昭和〜その時、世界は?」。その第4回「ビートルズからワールドミュージック」でレクチャーを担当します。10月26日(土)15:00開演(14:30会場)詳細はこちら


◎東京国際フォーラムで開催される「2013東京インターナショナルオーディオショウ」では(株)ユキムのブースでDJを担当します。11月2日(土)14:00〜15:00

Back Numbers

バックナンバーはこちらから >

A Taste of Music vol.06 / Coming Soon

  • Acoustic Revive
  • LINN JAPAN 様
  • yukimu 様
  • Timelord 様

  • Cotton Club 様
  • Syntax 様

A Taste OF Music Vol.2

ピーター・バラカンが語る「いい音楽を楽しむ方法」

A Taste of Musicは、音楽の伝道師ピーター・バラカンさんが素敵なオーディオ空間を訪ねながら、自ら選りすぐった音楽の魅力をライヴやレコードの聴きどころとともにお届けするWebマガジンです(毎月1回更新予定)。

featured Artist

 A Taste of Music第2回目の今回は、新しいジャズを巡る興味深い2つのライヴについてお話ししたいと思います。僕は9月の中旬にブルーノート東京で行われたロバート・グラスパーとオマール・ソーサのステージを立て続けに観ました。ヒップホップへの接近を試みるグラスパー、そしてワールド・ミュージックとしてのアプローチをジャズに採り入れているソーサ。どちらも大変魅力的なミュージシャンです。この2人にスポットを当てる前にまず、ジャズが他の音楽要素をいかに取り込んでいったかを考えてみたいと思います。


 誰もが「これがジャズだ」と呼べるジャズはいつ頃まであったのでしょう。僕が思うに、それは60年代後半くらいまでではなかったでしょうか。例えばマイルズ・デイヴィスがエレクトリックに転じ、ファンク・サウンドを採り入れるようになった頃、彼はすでに自らの音楽をジャズとは言わなくなりました。アルバム『イン・ア・サイレント・ウェイ』のクレジットには“Directions in Music By Miles Davis”と記されています。やがて70年代に入り、ジャズは常に新しい形を求めて、周辺のいろいろな音楽の要素を採り入れつつ、変わっていきました。ウェザー・リポートやハービー・ハンコック、チック・コリア、あるいはクルセイダーズもそうですね。最初は暗中模索だったのでしょうけれど、商業的に成功するようになると、フュージョンと呼ばれるものが出てきたりして、やや無難なポップ・ミュージックが増えたような気がします(笑)。


 その後、ワールド・ミュージックと呼ばれる音楽が幅広く聴かれるようになると、そういう要素もジャズに入ってきました。ジョン・マクラフリンは70年代の半ば、すでにインド人のメンバーと一緒にシャクティというグループでレコードを作っていました。またラテン音楽も、ジャズに盛り込まれたのはもっと昔の話で、40年代のディジー・ギレスピーあたりまで遡ります。思えば、ジャズとは常にそういう音楽だったのかもしれません。


 一方で、80年代初頭にはウィントン・マルサリスを筆頭に、かつてのモダン・ジャズをもう一度再現する新伝承派と呼ばれる人たちが台頭してきましたが、僕は個人的にそういう音楽には面白さを感じることができませんでした。むしろ、ウィントンのお兄さんのブランフォード・マルサリスがバックショット・ルフォンクというユニットでやっていたような、ソウルやヒップホップの要素を採り入れた同時代性の強い音楽にこそ、ワクワクするものを感じていました。


 とは言え、マイルズ以降、新しい音楽への接近を試みたミュージシャンはそれほど多くはいません。そうした中でロバート・グラスパーやオマール・ソーサの登場は、従来のアプローチとはまた別の形を持った新時代のジャズとして非常に面白いと思います。それでは、2人の魅力をライヴとレコードの両面で探ってみましょう。

Robert Glasper

9月14日、ブルーノート東京でライヴを行ったロバート・グラスパー。〈Photo by Tsuneo Koga〉

Robert Glasper

同じくブルーノート東京のステージから(9月17日)。オマール・ソーサ〈Photo by Tsuneo Koga〉